〇×ゲームはなぜ引き分けになる? ゴブレットが変えた三目並べ
〇×ゲームは子どものころに誰もが遊んだゲームですが、少し慣れると引き分けばかりになります。大小の駒をかぶせるゴブレットは、そこにきまりを足して読み合いを取り戻しました。
〇×ゲーム(三目並べ)は3×3のマスに2人が交互に〇と×を書き込み、縦・横・斜めのどれかに自分の印を先に3つ並べた人が勝ちという遊びです。紙と鉛筆があればどこでも遊べるので、子どものころに遊んだ人も多いと思います。
慣れると引き分けになる
〇×ゲームはお互いが正しく打つと必ず引き分けになります。運も隠れた情報もないゲームは、全部の進め方を調べれば答えが決まります(この種類のゲームの話は二人零和有限確定完全情報ゲームのコラムに書きました)。〇×ゲームはマスが9つしかないので、人の頭でもその答えにたどり着けてしまいます。
勝負が決まるのはたいてい、あと1つで並ぶ形を一度に2つ作ったときです。相手は片方しか止められないので、もう片方で並べられます。慣れた人どうしはこの形を作らせないように打つので、最後は盤が埋まって引き分けになります。
コンピュータと〇×ゲーム
ルールが単純なぶん、〇×ゲームはコンピュータの研究にもよく使われてきました。
1952年にイギリスのケンブリッジ大学で、サンディ・ダグラスがEDSACという初期のコンピュータで〇×ゲームを作りました。小さな画面に盤を映して人とコンピュータが対戦するもので、のちにOXOと呼ばれます。画面に絵を出すゲームとしては最も古いものの一つとされています。
1961年ごろにはドナルド・ミッキーが、コンピュータを使わずに〇×ゲームを覚える仕組みを作りました。約300個のマッチ箱に盤の形を1つずつ書き、中には打てる手ごとに色の違うビーズを入れておきます。箱からビーズを1つ引いて手を決め、負けたらその手のビーズを減らし、勝ったら増やします。引き分けでも少しだけ増やします。これをくり返すうちに、マッチ箱の山は負けない打ち方を覚えていきました。この仕組みはMENACE(メナス)と呼ばれ、機械が経験から学ぶ方法の早い例として今も紹介されます。
ゴブレットの誕生
ゴブレットを考えたティエリー・ドゥノアルは、〇×ゲームには大きな欠点があると思っていました。誰も勝たずに終わることが多いという欠点です。のちにインタビューでそう語っています。
その欠点を直して、〇×ゲームにもう一度読み合いを持ち込んだのがゴブレットです。2001年ごろにボードゲーム会社のBlue Orangeなどから出ました。アメリカの喫茶店で大きさの違うカップを重ねていて思いついたと語られています。
もとのゴブレットは4×4の盤で4つ並べるゲームで、駒は入れ子になる4つの大きさのカップです。のちに子ども向けに3×3の盤と3つの大きさにした版が作られ、今はゴブレットゴブラーズという名前で売られています。
ゴブラーズのルールは〇×ゲームにきまりを3つ足したものです。
- 1人6個の駒は大・中・小が2個ずつ
- 大きい駒は自分より小さい駒の上にかぶせられる(相手の駒にも自分の駒にも)
- 手元の駒を置くかわりに、盤の上の自分の駒を別のマスへ動かしてもよい
かぶせられた駒は、上の駒がどくまで並びに数えません。上の駒を動かすと下の駒がまた出てきます。
かぶせると答えが変わる
かぶせる仕組みのおかげで、ゴブラーズは引き分けになりにくいゲームです。〇×ゲームなら止められたはずの並びも、大きい駒でかぶせて奪い返せます。逆に、止めたつもりの駒の上からさらに大きい駒をかぶせられることもあります。
愛好家がコンピュータで全部の局面を調べた結果も公開されています。個人の解析ですが、それによるとたどり着ける局面は5億を超え、お互いが正しく打てば先手が必ず勝つそうです。引き分けで終わる局面はごくわずかでした。盤は9マスのままなのに、かぶせる仕組みを足すだけで人の頭では読み切れない深さになるわけです。
遊ぶときの考え方
細かい打ち方は遊びながら見つけるのが楽しいところなので、考え方だけを紹介します。
- 大きい駒の使いどころ
- 大きい駒は誰にもかぶせられません。早く出せばいい場所を取れますが、手元に残しておけば相手の並びを最後に止める切り札になります。
- 動かす前に下を見る
- 自分の駒を持ち上げると下の駒が出てきます。そこに相手の駒が隠れていて相手の並びができてしまったら、もとのゴブレットのきまりでは、持ち上げた駒でその並びのどれかをかぶせないと負けです(〇×ゴーストも同じです)。
- かぶせる手は守りと攻めを兼ねる
- 相手の駒にかぶせると、相手の駒を隠して、そのマスを自分のものにできます。相手の並びを止めながら自分の並びにも近づけます。下に隠れた相手の駒のことも覚えておくと、あとで動かすときに困りません。
〇×ゴーストで遊んでみる
このサイトの〇×ゴーストは、ゴブレットゴブラーズと同じルールで遊べる〇×ゲームです。駒は白と黒の布をかぶったおばけで、大きいおばけが小さいおばけの上からかぶさります。URLを送るだけで2人で対戦でき、1人ならCPUと遊べます。