ドアは変えるべき?モンティ・ホール問題を、みんなの結果で確かめる
3つのドアのうち、当たりは1つ。ドアを選んだあと、司会者がハズレを1つ開けてみせる。ここで選び直すべきか。答えは知られているのに、多くの人が納得できない問題です。
文:なおすけ / 公開 / 更新
まだ遊んでいない人は、先にモンティ・ホール問題を1回遊んでから読むのがおすすめです。自分の直感がどちらを選ぶか、先に確かめてみてください。
問題
3つのドアがあり、1つの後ろには車、残り2つの後ろにはヤギがいます。あなたはドアを1つ選びます。 すると、どこに車があるかを知っている司会者が、あなたが選ばなかったドアのうち、ヤギのいるドアを1つ開けてみせます。 そのうえで、司会者はこう聞きます。「選んだドアを、残っているもう1つのドアに変えてもいいですよ」。
名前は、アメリカのテレビのゲーム番組『Let's Make a Deal』の司会者、モンティ・ホールにちなんでいます。 問題そのものは、1975年に統計学者のスティーブ・セルヴィンが学術誌で紹介したのが最初とされています。
答えは「変える」
ドアを変えると、当たる確率は 2/3(約66.7%)。変えないと 1/3(約33.3%)です。変えたほうが、当たる確率が2倍になります。
理由は、最初に1番のドアを選んだとして、車がどこにあるかの3通りを全部並べると分かります。
| 車があるドア | 司会者が開けるドア | 変えないと | 変えると |
|---|---|---|---|
| 1番 | 2番か3番 | 当たり | ハズレ |
| 2番 | 3番 | ハズレ | 当たり |
| 3番 | 2番 | ハズレ | 当たり |
3通りはどれも同じ確率で起こります。変えないで当たるのは1通り、変えて当たるのは2通り。 言いかえると、最初の選択が外れていたら、変えれば必ず当たるのです。そして最初の選択が外れている確率は 2/3 です。
ドアが100枚だったら
まだしっくりこないなら、ドアを100枚にしてみてください。あなたが1枚を選んだあと、司会者が残り99枚のうちヤギのいる98枚を開けて、1枚だけ残します。
最初に選んだ1枚が当たりである確率は 1/100 です。司会者がたくさんのドアを開けても、その確率は変わりません。 一方、司会者があえて閉じたまま残した1枚には、残りの 99/100 がまるごと乗っています。この場面なら、ほとんどの人が迷わず変えるはずです。 ドアが3枚でも、起きていることは同じです。
なぜ直感は「半々」と言うのか
ドアが2枚残った場面を見ると、「どちらかに車がある。だから半々だ」と感じます。 選択肢が2つあると、確率も半々だと思い込んでしまう。この傾向を等確率バイアスと呼びます。
ところが、この2枚は対等ではありません。1枚はあなたが何も知らずに選んだドア。もう1枚は、答えを知っている司会者が「開けずに残した」ドアです。 司会者の行動には、車の場所についての情報が含まれています。
それに加えて、人は「変えて外れる」ことを「変えずに外れる」ことより強く後悔しやすいことが、この問題そのものを使った実験で確かめられています(Gilovich ら、1995年)。 自分から動いて失敗するほうが、何もせずに失敗するより悔しい。この傾向を不作為バイアスと呼びます。 実際、この問題を人に解いてもらう実験では、約9割の人がドアを変えずにそのままにしました(Granberg と Brown、1995年)。
専門家も間違えた
この問題が広く知られるきっかけになったのは、1990年にアメリカの雑誌『パレード』の人気コラムで、マリリン・ヴォス・サヴァントが「変えるべき」と答えたことでした。 コラムには「それは間違いだ」という手紙が殺到しました。本人によれば、その数は約1万通。うち約1000通は、博士号を持つ人からだったといいます。
20世紀を代表する数学者のひとり、ポール・エルデシュも、はじめは答えを認めませんでした。 友人がコンピューターで何度も試した結果を見せると、結果そのものは認めたものの「なぜそうなるのか分からない」と納得しきれず、 その後、別の数学者の説明を聞いてようやく腑に落ちた、と伝えられています。 結果を見ても、理由が分かるまでは信じきれない。モンティ・ホール問題はそういう問題です。
司会者が答えを知らなかったら
「変えると 2/3」という答えは、次の前提があってはじめて成り立ちます。
- 司会者は、車がどこにあるかを知っている
- 司会者は、必ずヤギのいるドアを開ける(車のドアは開けない)
- 司会者は、必ず「変えますか」と聞く
たとえば、司会者も車の場所を知らずに適当にドアを開け、たまたまヤギが出てきた、という場合は話が変わります。 このときは、変えても変えなくても当たる確率は 1/2 です。司会者の行動に、車の場所の情報が含まれていないからです。
このサイトのモンティ・ホール問題は、本来の前提どおりに作っています。 司会者役のサーバーは車の場所を知っていて、必ずヤギのドアを開けます。あなたが最初に車を選んでいた場合は、残り2枚のどちらを開けるかをランダムに決めます。
このサイトの実際の結果
では、実際にはどうなるのか。このサイトで遊ばれた回と、「自動で1000回ためす」で試した回を合わせた集計です。 この記事を開いた時点の数字を読み込んでいます。
みんなの結果
集計を読み込んでいます…
回数が増えるほど、それぞれの割合は理論値(線の位置)に近づいていきます。試す回数が増えるほど、結果が本当の確率に近づいていく。 これを大数の法則と呼びます。何人が遊んでも、ドアを変えたほうが約2倍当たる。 エルデシュに結果を認めさせたのと、同じ景色です。
実際に遊んでみる
理屈が分かっていても、いざドアを前にすると迷うものです。あなたの1回も、みんなの結果に加わります。